2014年01月14日 【ネタバレ】『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』感想
■ セカンドランも始まったところで、ネタバレ感想を公開。これは公開直後(初日に2回観た)に観た勢いのまま書き殴って、身内にだけ閲覧できるようにしていたものです。なので、複数回観た(そのうえ同人誌を一冊出した)今となっては印象の変わっている箇所もあるし、そもそもかなり恥ずかしい語りになってるんですが、下手に手を加えると違うものになってしまうし、結局人目に触れないままになってしまいそうなので、勢いのままに公開します。 「す、凄いものを観てしまった……」というのがまず。ついで「おもしろい! 滅茶苦茶面白いぞこれ!」と。描かれた画が動いて、音楽や歌や声優さんの演技がついて、「お話(脚本)」を「魅せる(演出)」……ああ、アニメって面白い! アニメはこんなに面白い映像表現なんだー! と大声で言いたくなる。公開前劇場に置かれていたこの映画のチラシ(B4両面カラー二つ折り)が手元にあるのだけど、そこにはこうある「アニメーション制作会社シャフトによる めくるめく映像サーカス」……まさに! チラシ書いた人えらい。真っ暗な映画館の大画面に映える色彩豊かな(OP主題歌も「カラフル」!)一大映像絵巻! 観られる環境にある人は、ぜひとも上映中に足を運んでください! チラシにはこうも書かれている「物語は想像を絶する“途方もない結末”へ」……ま、私もそれなりの数の映画を観てきてるんで、この手の惹句をそのまま信じたりはしない――なのに――まさか本当にこんな“途方もない結末”だとは! いや、真に途方もなかったのはやっぱりTV最終回の結末で、それありきの映画の結末なんだけれども。魔法少女バトル物で始まったアニメが、大スケールのSF展開の後、仏教的救済の物語として決着するとは思いもしなかった。だからこそ、その続篇は難しい……蛇足によって全てを台無しにしてしまうんじゃないかという恐れはおおいにあったわけで。
TVシリーズ最終回、まどか改変後の世界において、ほむらは特異な存在だった。「彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい」という願いで魔法少女になった筈なのに、その守るべきまどかはこの世界の過去にも未来にも存在しないのだった。この矛盾を、TV最終回に於いてほむらは「まどかが改変したこの世界を守ることが、まどかを守ることになる」と納得しているようだったし、視聴者もおおむね納得していた。(私もあの決着は物凄く腑に落ちたし、好き)でも、それが間違いだったら? 少なくともほむらが間違いだったと思ってしまったら……? だから「この時を 待ってた」以降の展開は、初見では滅茶苦茶驚いたけれど、考えてみればこれ以外の展開は……少なくともほむらの成長物語としては……ないなと思えるようになった。「彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい」という遠回りな願いをキュゥべえにするしかなかった彼女が、「まどかだけは幸せにする、私はずっと側にいる」という願いで自ら宇宙を改変するまでになった……というのは成長と呼ぶしかない。結果として出来上がったのが、SG内の偽物の街が宇宙全体に拡大したような、歪な代物だったとしても。
「misterioso」が流れる一連のスーパー魔法少女大戦の祝祭感ヤバい。というか個人的には一番の号泣ポイント。「misterioso」がまず名曲なわけだけど、あれによって“円環の理”と化したまどかが、そんなに孤独でもなかったんだな、とわかるのがクる。どうやら魔法少女が行き着くヴァルハラみたいなものがある(二次創作ではさんざん描かれていたけれど)というのが明言されたのは大きい……いや、ある意味一番まどマギらしからぬ夢のある設定なわけだけど。そこに導かれて、まどかと一体になれるのなら、ほむらにとっても悪くない……というか望み得る最上の結末なんじゃないかなー、と思える。思えるだけに、その直後の展開が、胸に迫る。
これって結局、ハッピーエンドなの? という件について。少なくともほむらは自分の意思を貫いて、あの時点で手に入れられる限りのものを手にしたのだから、幸せそうには見えない、と外野から言っても仕方ないと思う。TVシリーズでの大部分において、ほむらは「まどかを大切に思うあまり、まどかと距離を置かざるをえない」という矛盾にずっと苦しめられていたのだから、まどかといっしょにいられる、という何より大事なことに較べれば、その他の全ては些事だろう。(ほむら改変後の世界がどうなっているのかは想像するしかないのだけれど、河原に散乱する脱ぎ捨てられた靴からは楽しいイメージは涌かない)
ほむらはいずれ最愛のまどかと戦うことになるのかもしれず、最終的には自分の命を含めて全てを失うことになるのかもしれない。それでも、納得づくのはず。少なくとも、最後の最後でほむらは踊れている。OPでは踊る4人の中でひとり蹲るしかなかった彼女が踊っているのだから。